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小論文教育 No17 小論文テーマ「日本のジェンダ―ギャップ指数、どう読み取りますか(ver2)」

小論文教育 No17 小論文テーマ「日本のジェンダ―ギャップ指数、どう読み取りますか(ver2)」

 

 前回の岩手大学の2020年度国語入試問題の続きです。次のような問題でした。

 

 次の資料(資料1~4、小論文教育No16を参照)は、世界フォーラムが公表している日本のジェンダ―ギャップ指数に関しての資料である。これらの資料をもとに、後の問いに答えよ。

 問一 資料1から3をもとに、日本のジェンダ―ギャップ指数及びランクの推移につい て、150字以内で説明せよ。

 

 thesilentuniversさんから解答をお寄せいただきました。次のものです。

 

健康の指数は常に1に近い値を維持し続け、ランクが1位になる年もある。教育の指数は健康よりさらに1に近い値であり続け、2013年度以降ランクも上がっている。政治と経済のランクは下降傾向にあり、特に政治の指数は0に近い。それが影響し、総合のランクは低位であり続け、改善の傾向は見られない。

 

 上記の解答を①~③の部分に分け、傍線部を付けた箇所について、ご指摘をします。

①健康の指数は常に1に近い値を維持し続け、ランクが1位になる年もある。教育の指数は健康よりさらに1に近い値であり続け、2013年度以降ランクも上がっている。

②政治と経済のランクは下降傾向にあり、特に政治の指数は0に近い。

③それが影響し、総合のランクは低位であり続け、改善の傾向は見られない。

 

 ①~③について、コメント及び改善点を指摘します。まず、問題の確認です。「ジェンダーギャップ指数及びランクの推移」について「説明」しなさいとあります。「説明」なので、解答に書いた数値ではなく、数値を評価に書き直した方がいいです。

 ①については、「健康」と「教育」の分野では男女平等がほぼ実現していると、説明したらいいでしょう。②については、「政治」と「経済」の分野では男女平等の格差が顕著であると、説明しましょう。ただし、①の傍線部の指摘は誤りです。

 このように説明すると、字数が省略できますので、さらに「説明」を加えられます。③については、いいと思います。④の指摘を加えましょう。

 ④日本はG7の中で最下位で、アジア諸国よりも順位は低い、という指摘をしましょう。

 

 次に、岩手大学の続きの問題を掲載します。

資料4

 問二 資料4「日本のジェンダー指数 分野毎の項目別内訳」から読み取れることは何か、三点指摘せよ。

 問三 データの読み取りを踏まえ、日本のジェンダーギャップ指数の改善のために、今後どのような対策を取るべきだと考えるか、三百字以内で述べよ。

 

 上記の問題について、少し解説をします。問三の解答を考えるためには、問二の資料を読み取ることができるかが、鍵です。問二の資料4の顕著な特徴をつかんで問三の「対策」を提案してください。

 

主要先進国の男女賃金格差

 上記は「ジェンダー格差是正への道筋 上」の記事です(日本経済新聞朝刊2022年12月15日)。年収の男女差については、同一職場内で先進15ヵ国の中で最下位です。また、時間当たり賃金の男女差は同一職場内、国全体でも先進15ヵ国の中で最下位です。後者については、「多くの国で女性は男性より労働時間が短いため、時間当たり賃金でみると男女賃金格差は縮小」しますが、日本は突出して低いですよね。「スウェーデン、オランダ、ノルウェーの女性労働者の時給は同一事業所内の男性より8%低い程度」です。

 日本の中にいると、気づかないですよね。というわけで、問三の解答がとても、これからの日本社会で大事な事です。

 それでは、問三について、解答をお待ちしています。

 宛先はserajobin3@gmail.com

 

 

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