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小論文教育 No13 小論文テーマ「高齢者の年間医療費は、今後どうなるのか」

小論文教育 No13 小論文テーマ「高齢者の年間医療費は、今後どうなるのか」

介護保険

 この記事には2000年度の介護保険制度の創設から費用が3.7倍に膨れ上がったことが書かれています(日本経済新聞朝刊2022年11月1日)。詳しくは、紙面をお読みください。

 「高齢者の社会保障費は、今後増大してゆくけど、どのように対処しますか。」

 

 「そんな問題は、政治家が解決すべきもんだい、今の自分の問題じゃない。」

 

 このような意見は、当然そのとおりだと思います。ですが、日本の社会もいよいよ逃げ場のない状況に置かれています。近年の小論文問題は、そうした課題を考える思考力を試しています。

 こうした簡単には解決できない、社会問題を受験生が自ら問い、答えを導かなければなりません。小論文以外の教科の試験は答えがある問題です。小論文は答えがない問題と言えます。ですから、自分が出した答えを採点者に納得してもらえるように、解答を書くことが必要になります。

 答えがない問題というと、哲学や思想を連想しますよね。哲学や思想って、何の役に立つかわからないし、苦手だという受験生は多いと思います。ですがご安心ください。制限時間内に与えられた資料の枠組みで、答えを出す点は哲学や思想とは違います。

 

 そこで大事なのは、採点者が納得する根拠を示すことです。

 

 そしてこの根拠の説明には、超高齢社会の高齢者と現役世代の関係を深く理解することが肝の一つになります。

 今回は、高齢者の年間医療費について考えてゆきます。(参照『新小論文ノート2023』代々木ゼミナール

グラフ1

グラフ1を見ると、2040年まで65歳以上の高齢者の人口が増えていることがわかります。その一方で、生産年齢人口は急激に減っていることがわかります。

 

グラフ3

2019年香川大学経済学部後期試験

問題1

65歳以上の高齢者世代全体と64歳以下の世代全体の国民医療費の支出額それぞれが今後どのように推移すると考えられるか、 グラフ1とグラフ3の内容を用いて説明しなさい。(300字以内)

問題2(私が問題を一部改変しました)
グラフ1やグラフ3より、65歳以上の高齢者については、医療費の支出額が今後、さらに増えていくことが想定されます。

そこで、自己負担の割合を上げようという意見が出され、今年(2022年)の10月には介護保険料の自己負担額が年収200万円以上の高齢者は引き上げられました。

その一方で、社会保険料の支出額の増大を「姨捨山」のような社会問題として取り上げるよりも、「高齢者が元気でいながら何の役割も与えられない環境こそが問題であり、このことが我々の直面する多くの課題を生み出しているのではないでしょうか」という意見もあります。

 高齢者が元気でいながら何の役割も与えられない環境を改善する取り組みとしてどのようなものが考えられるか。あなたが有効だと考える取り組みの具体例を一つ挙げて、その取り組みが環境の改善につながる理由を説明しなさい。また、その取り組みが社会の直面している課題の解決にどのように貢献するかについて、あなたの考えを理由とともにわかりやすく述べなさい。 (500字以内)

 

まずはグラフの読み取りの問題を解答してみましょう。次に、どのような社会貢献が高齢者にできるかという問題2に取り組んでみましょう!問題2についての回答をお待ちしています。

宛先はserajobin3@gmail.com

 

www.nikkei.com

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