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小論文教育 No.3 社会政策や社会制度は社会の鏡って言うけど、どういう意味?

小論文教育 No3::社会政策や社会制度は社会の鏡って言うけど、どういう意味?

チャートは語る

 皆さん、さまざまな指標・データを見ますよね。とくに最近は、物価上昇がよく話題になっています。消費者物価指数とか、企業物価指数とか。

 そうした指数をわかりやすく見せてくれるものがグラフです。

 さて、冒頭の新聞記事のグラフは言葉を使わずに、明瞭にウクライナ及びロシアのリツィートの推移が比較できていますね。

 何が起きているのか? 詳しくは、記事(日本経済新聞朝刊2022年8月14日)をお読みください。

 

 「社会政策や社会制度は社会の鏡です」。これは私の言葉ではありませんが、納得しますよね。「小論文書き方と考え方」(大堀精一 講談社)では次のような説明があります。

  Ⅰ「社会政策」や「社会制度」から社会の姿を明らかにするという手法。

  Ⅱ「比較」「相対化」によって自分の主張の客観性や説得力を高める手法。 

                                 (p.97)

 

 Ⅰ・Ⅱについて説明します。Ⅰについて、筆者は、文章の中で社会政策や社会制度について説明します。そこから、現代の日本社会の姿を明らかにしているということです。Ⅱについて、他国の社会政策や社会制度と比較・相対化することによって、客観的な根拠を明示した文章になるということです。さらに、さまざまな図表やグラフを見ている、有識者の多様な意見などを知っている、そうしたことが客観的な文章を作成することになります。そしてオリジナリティのある主張につながっていきます。

 

  これを誤ると、独善的な文章になってしまいます。

 

 図表やグラフなどを学習する上で、家庭科の金融教育分野は参考になると思われます。ただし、家庭科の先生は金融知識の専門家ではないので、十分に説明できなくてもしかたがありません。私も「18歳からもはじめられる金融知識」で取り上げていきますので、そちらもお読みになって自分の考えの相対化(比較)をしてください。

 18歳の皆さんは、次のような要望があるかもしれません。

  「さらに現代日本や世界の社会政策や社会制度の違いを理解しておきたいのですが、何かいい読みものはありませんか」

 

  日本経済新聞の日曜版「チャートは語る」です(冒頭の写真もその記事の一部です)。

 

 毎週読み続ければ、自然と相対的な視点が学べます。また、気に入ったチャートはカメラで撮っておいて後で見てもいいですね。

 

 では次の問題を解いてみましょう!

「私たち(日本人 筆者注)は『つめたい社会』を生きている」という見方に対するあなたの考えを800字程度で書きなさい。なお、その際には以下の資料を参考にしてもよい」(前掲書 p.105)。

参考資料

 経済協力開発機構 (OECD) は12日、 2014年の加盟各国の国内総生産 (GDP) に占める小学校から大学までに相当する教育機関への公的支出の割合を公表した。 日本は3.2%で、比較可能な34ヵ国中、最低となった。OECD平均は4.4%で、日本が最低となったのは12年調査以来。教育支出の多くを家計が負担している現状が浮かんだ。(中略)
 公的支出割合が最も高かったのはデンマークの6.3%で、ノルウェー6.1%、アイスランド5.7%、ベルギーとフィンランドの各5.6%と続いた。
 公的支出割合の中で、高等教育を見ると日本は34%で、OECD平均の70%を大きく下回った。高等教育における私費負担の割合が05年以降、ほとんど変化していないことも分かった。
 日本の幼児教育に関する分析も示され、在学率は3 歳で80%、4歳児は94%だった。 ただ、 幼児教育への支出のうち、公的支出の割合はOECD平均の82%を下回る46%にとどまった。(以下略)
(日本経済新聞WEB版 2017/9/12 23:36 「教育への公的支出、日本また最下位に 14年のOECD調査」〔共同通信配信〕より)

 

 「冷たい社会」に生きているってどういうことか?実は、別の資料が前掲書には挙げられています。その資料について、ここでは詳細を省きます。興味がありましたら、読んでみてください。

 

  私は次のように解答を書きだしました

 

 日本では所得格差が現われたのと同調するように、雇用格差や教育格差も開き始めた。これらの格差の中でも、所得格差を生み出している雇用格差が多くの格差を生み出していると考えられる

 正規雇用と非正規雇用は、前者に男性の占める割合いが高く、後者に女性の占める割合が高い。また中高年と若い世代に於いても、正規雇用に占める割合が中高年が高く、非正規雇用に占める割合が若い世代に多い。このように性差や世代の違いが格差につながっているのが日本社会の現状である。

 そうした格差を是正するのが、社会制度や政策である。だが、日本社会は格差是正に対して消極的な「つめたい社会」であると考えられる。私はこの見解を教育費の取り組みの面で検討する。

 

 この続きをどのように書きますか! 次回、続きを書きます。皆さんも書いてみてください!明日は「チャートは語る」(日本経済新聞朝刊 日曜版)をぜひお読みください。

 

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