小論文教育 No.1
小論文教育 No.1:私立大学では推薦入試が一般入試を逆転!推薦入試で問われる、小論文って、何?
この写真は2022年8月15日の日本経済新聞の記事です。私立大学の入学者数で推薦入試が一般入試を逆転したことを説明しています。また、この棒グラフの比較では、国立大学でも、推薦入試が増えていることが読み取れます。
18歳の生徒の保護者の皆さん、皆さんの受験経験とは異質の状況になっていることがわかりますね!
そして、18歳の生徒、あるいは若い世代の方々、入試の状況はこんな状況です。
なぜ、推薦入試が増加しているのかは、入学定員の確保にあることは言うまでもないです。これも少子化の影響ですから、この傾向は変わらないと思われます。
さて、学校で学んでいない教科・科目の中で、入試問題に出題されるものがあります、何でしょうか?
答えは小論文です。
1990年頃に大学入試センター試験とともに始まり、また多様な出題形式を伴いながら継続している試験です。大学入試センター試験は、共通テストに改変してしまいました。
冒頭でも触れましたが、この三十年の変化で驚くべきことは一般入試よりも推薦入試の方が、私立大学に於いては受験者が多くなってしまったことです。繰り返しますが、国立大学でも推薦入試の受験者が増加しています。「教授だから知っている大学入試のトリセツ」(田中研之輔 ちくまプリマー新書)では、2015年度の資料を挙げています。
私立大学では、一般受験が49.0%、推薦入試が40.1%、AO入試が10.5%で、推薦入試とAO入試受験者の方が、一般受験より多くなっています(p.73)。
ここで言う、AO入試と推薦入試について説明します。
現在、一般入試は一般型選抜、推薦入試は、AO入試が総合型選抜、推薦入試が学校推薦型選抜と名称を変えました。
そして、この推薦入試で課されるものの一つに、小論文があります。
さて、小論文が30年近くにわたって出題されているのは、複雑な現代社会の事象や世界の問題などを問うことができるからだと思われます。学校の教科で習っていない科目をどのように対策をして勉強をしたらいいのか? という不安に駆られますよね。
私は私立中高の国語教諭をしています。「小論文を勉強するのに、良い本はありませんか?」「現代社会の常識を知るのに、本を読んだ方がいいですか?」などと訊かれます。
「本は読んだ方がいいけど、受験勉強の中で時間がないよね」
「新聞記事で興味をもったものがあったら、読んでね」
「学研の樋口裕一の参考書が、手にとりやすいんじゃないか」
などと、お答えしています。でも、こうした返答は、小論文を学ぶための機会を提案しているに過ぎません。
VUCAな世界になっているのに、数冊の本や目にした記事などで、世界の現象を分析できるのでしょうか?
当然ながらできません。
では小論文の学習は、何をすればいいのか?また、生徒の問いに戻りましたね。問い方を変えてみましょう。
小論文は何を問うているのでしょうか?
知識量や知識の質を求めているというより、その問題を分析し、論理的に考え、それを採点者に的確に伝えることだと思われます。
問題(課題)を設定し、その分析を通して深く考えることです。
これが新学習指導要領、そして高校・大学の連携で求められている力に通じていることがわかります。論理的な思考力・判断力・表現力といった新学力観です(前著p.62)。
今後、小論文の書き方などにふれていきますので、ぜひお読みになって深く考える力を養ってください。そして金融・経済的視点から、日本社会の現象についても、配信しています。下記のnakatalabのブログも、お読みになってください。